ヨウ素液・ベネジクト液って理科実験で使いますが、何の実験で何を調べるのに使用するもの?

 中学生理科の時間でよく出てきた『ヨウ素液』や『ベネジクト液』という試薬を覚えているでしょうか? 

 現時点で小学生はどうだろう…と思いますが、中学生は知らなかったとか覚えていないという場合は、この機会に是非記をしっかりと定着させておいて下さいね。

 忘れている人でもこの液体の名前は憶えているという人は結構多いのです。ただ、何色から何色に変化したんだっけ?とか、何を検出するのに使用していたんだっけ?という風に、何を調べるために使われるのかという目的を思い出せない人が圧倒的に多いという印象です。

 そこで今回は、大人も学生も知っておきたい『ヨウ素液』と『ベネジクト液』の実験の目的などお伝えしていきます。

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ヨウ素液

 ヨウ素液というのは、ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶かしたもので、薄い黄色い液体です。

 ヨウ素液は、光に当たるとその性質が変わってしまうため、遮光された濃い茶色のビンで日の当たらないところで密閉して保管する必要があります。

ヨウ素液のはたらきと使われ方

 ヨウ素液は、デンプンがあるかどうかを調べるために使われます。

 このことは、ヨウ素デンプン反応を調べると言われています。黄色いヨウ素液を物質に垂らして反応を見るというものです。実験で使われるヨウ素は薄められて使用されます。

 黄色から青紫色に変化すると、その物質にはデンプンが含まれているということになります。

 青紫に変化するのが一般的ですが、使う物体によっては赤紫のように変化することもありますし、ヨウ素液が濃い場合は、青紫を通り越して真っ黒に反応てしまうこともあるので、実験に使う時にはその濃度も重要です。

 そして、このヨウ素液で中学校の理科実験が行われるのは、『じゃがいも』や『植物の葉』を使った実験です。

 ジャガイモや植物の葉には、デンプンが含まれています。植物が成長する上で重要なエネルギーとしてデンプンが作られます。

 デンプンは、主に日光の光を浴びた植物が、水と二酸化炭素を合成させて作られます。いわゆる『光合成』によってデンプンがつくられるかどうかの実験をするわけです。

 デンプンは主に植物の葉で出来るのですが、出来たデンプンが次第に葉から移って、根や茎、種子などに蓄えられて行くので、ジャガイモなどのイモ類はヨウ素デンプン反応が分かりやすく、実験での使用頻度も多いのです。

ベネジクト液

 ベネジクト液は、還元糖を検出するための試薬で青い色をしています。
 
 ベネジクト液を使う時には、加熱をして使用します。

 常温のまま使用すると、ほとんどの場合で反応が起きないため、加熱して使用することになっています。

 ここで注意ですが、ベネジクト液を使用した実験をした場合、実験後にベネジクト液をそのまま水道の水で流してはいけません。

 微量の銅が含まれているので、必ず専門の業者に回収を依頼する必要があります。

ベネジクト液の使われ方とはたらき

 ベネジクト液は、先ほど上記でも説明したとおり、還元糖を調べるために使われます。

 還元糖というのは、一般的にブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、麦芽糖(マルトース)のことを指します。

 ちなみに、ショ糖=砂糖:スクロースは還元されないので、検出することは出来ません。

 そして、ベネジクト液は元々が青色の試薬です。その物質に糖が含まれている場合は、オレンジや赤に近い褐色がかった色に変化して沈殿物が認められます。

 糖の濃度が濃ければ濃いほど褐色が強く表面に出てきます。

 ベネジクト液を使った中学校の理科実験で代表的なのは『唾液』を使った実験です。

 唾液を調べることで、体内で起こっている消化液の働きを理解することが出来るようになります。

 私たち人間が、食事をして体内にエネルギー(糖)を取り入れるために、消化酵素が働く必要があるのです。

 食べたもの:炭水化物=デンプンなどは、そのままの状態では体内に吸収されることがありません。

 デンプンは大きな個体であり、水に溶け込むことが出来ないので、唾液という消化液の力を借りて糖へと分解されます。

 その後、胃や腸などに含まれる消化酵素が、さらに分解してブドウ糖という小さなエネルギーにまで分解します。

 ブドウ糖は水に溶けやすいので体内での吸収が容易になり、血流にのって全身にエネルギーを送ることが出来るようになるのです。

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それでは、何の実験で何を調べる時に使われるのか?

 今までの説明で、それぞれがどんな液体なのかはおおよそ分かって頂けたと思います。それを使って、中学校の理科でどういう場面で使用されるのかを今からご説明していこうと思います。

 この二つの液体が性質の違いを利用して使われる単元が中学生にはあります。それが、『消化と吸収」(教科書の出版社によって若干名前が違うかもしれません)の単元です。ここで、人間の体内でどのような仕組みで消化・吸収されていくのか?ということを学びます。

 具体的には、ご飯を口の中で繰り返し噛んでいると、だんだん甘く感じられるようになります。これは、ご飯に含まれる「デンプン」が「麦芽糖」に変化していることが原因になります。つまり、だ液がデンプンを麦芽糖に変化させている事を確かめる実験で使われる!という事です。

 それでは、具体的な実験の流れを説明していこうと思います。

まずは、それぞれの液体の性質の違いを考える

 それでは、デンプンだけを入れた溶液にそれぞれの液体を入れてみると、ヨウ素液を入れた方は「青紫色」に変化して、ベネジクト液を入れた(加熱)方は、色は「変化なし」。

 次に、麦芽糖だけを入れた溶液にそれぞれの液体を入れてみると、ヨウ素液の方は「変化なし」。ベネジクト液を入れた(加熱)方は、赤褐色の沈殿が出来ます。

 ここで、この二つの液体の性質の違いを利用して、「だ液がデンプンを麦芽糖に変化させる」ことを確かめる実験が出来るわけです。

だ液によるデンプンの変化

<ステップ1>だ液を採取する。

 ①口の中に脱脂綿を入れてだ液を吸い込ませ、その脱脂綿を水の入ったビーカーに入れ、ガラス棒等で混ぜてだ液を採取する。

<ステップ2>だ液とデンプンを混ぜ合わせる
 ②試験管を2本用意する。1本には薄めただ液を入れ(試験管A)、もう1本には水を入れる(試験管B)。
 ③この試験管2本にデンプンを入れて軽く振って混ぜる。

<ステップ3>試験管をあたためる
 ④だ液は人の体内で働くので、体温に近い40℃のお湯であたためる。
 ⑤AとBの液体をそれぞれ半分づつに分けて、別の試験管に入れる。
  (AとCが同じもの)(BとDが同じもの)

<ステップ4>デンプン溶液の変化を確認する
 ⑥AとBにヨウ素液を入れて反応を確認する
 ⑦CとDにベネジクト液(沸騰石も入れる)を入れて加熱して反応を確認する。

結果

 Aの液体はヨウ素液で青紫色にならない→→→デンプンがなくなっている。一方、Bの溶液は青紫色に変化する。

 Cの液体は、赤褐色の沈殿が生じるので、元々無かったはずの麦芽糖が出来ている事が判明。Dの液体は変化しない。

 よって、だ液には消化酵素としての働きがあり、デンプンを麦芽糖に分解する消化酵素(アミラーゼ)が含まれることが分かる。

 という実験でこの2つの液体が大活躍するのである。この色の変化は試験に出やすいので、確実に覚えておいてほしいですね。 
 

 

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